住宅街に⁈「携帯基地局」設置を考える
国策としてデジタル社会を目指すうえで、総務省が携帯会社に向けて設置調査活動を積極的に推進し、携帯基地局設置が急ピッチで進めています。1990年の電波防護指針により安全だとされていますが、世界で最もゆるい規制値です。
携帯基地局がある日突然、住宅街に建設することを受けて、市内をはじめ県内でも、市民相談が相次いでいます。国は半径30メートル(高さの2倍)の住民に説明をして設置するよう求めていますが、請負会社からは個別説明や文書を投函されるだけのケースもあり、十分な理解が進んでいるとは言えません。また、電波への影響は半径30メートルだけでの問題ではなく、さらに広い範囲に及ぶことが懸念されます。
建設許可申請が必要な工作物は、高さ15メートル以上とされています。携帯基地局の柱は14.8メートルのため、行政に許可申請の必要がないため把握することができず、集団説明会を求めることもできません。鎌倉市は条例を持っているため、集団説明会を開くことが認められています。近隣住民同士で反対する人とそうでない人とができることで、不和を生み出し住みづらくなることは避けねばなりません。藤沢市においても、電磁波に弱い人たちに対しての配慮として、町内全体への住民説明会が必要であると考えます。また、設置が決定するには、地権者と携帯会社の2者契約により成立します。強く反対するのではなく、信頼できる資料や診断書をもって、地権者に丁寧に説明をし理解してもらうことも重要です。
今回の相談ケースでは、地権者に理解してもらい、何かできる配慮を考えてほしいとお願いしました。はじめの訪問では、地権者に土地調査報告が丁寧に行われておらず、何も答えることができず困惑していました。一部の住民と地権者が、お互いに困っていることを共通認識とし、診断書をもって電磁波過敏症について理解してもらうよう働きがけをしました。地権者は、携帯会社からの土地利用の申し出を断ることにつながりました。
電磁波過敏症やペースメーカで生活する人にとって、電磁波による影響は、死活問題です。地権者や近隣住民へ丁寧に説明し理解してもらい、どのような配慮ができるか、みんなで考える必要があります。2021年には障がい者差別解消法が改正され、公共だけでなく民間企業に対しても、障壁に対してできうる限りの合理的配慮が義務化されました。弱い立場の人だれもが、安心して住み続けられるように市民自治を考えるべきです。「インクルーシブ藤沢」を掲げる町としては、超党派で条例づくりを進める必要があります。