コロナと石けんのお話~科学的視点から考える~
オンライン講座「コロナと石けんのお話~科学的視点から考える~」
主催:香害・化学物質対策プロジェクト
日時:2021年2月6日
洗剤・環境科学研究所代表の長谷川治氏をお迎えして、国内で唯一本物のウイルスで実験をしている国立感染症研究所のデータに基づき、純石けんの優位性を科学的に解き明かしてくれました。新型コロナウイルス感染症対策により、手指を消毒する機会が増えました。毎日使う石けんは、人と環境に安心安全であることは持続可能な社会であるためには重要です。
新型コロナウイルスを知ろう
コロナウイルスは、遺伝情報としてRNAをもつウイルスの一種で、一番外側に「エンベロープ」という脂質(タンパク質)からできた二層の膜をもっています。自分自身で増えることはできませんが、粘膜などの細胞に付着して入り込んで増えることができます。
純石けんを使った手洗いは、コロナウイルスの膜を壊すことができるので有効です。同様に手指消毒用アルコールも脂肪の膜を壊すことによって感染力を失わせることができます。
物に対する有効な消毒方法~界面活性剤等~
nite新型コロナウイルスに対する代替消毒方法の有効性評価にある国立感染症研究所の実験結果から読み解きます。
純石けん成分(脂肪酸カリウム、脂肪酸ナトリウム)は、物品に対して濃度0.24%で新型コロナウイルスを不活化させる効果があります。アルキルベンゼンは、濃度1%で有効ですが、以前に琵琶湖の汚染で問題になった成分のため国内生産はほとんどしていませんが、外資系メーカーでは使用、販売されています。合成洗剤の代表的な成分であるアルキルエーテル流酸エステルナトリウム(AES)は、0.5%までの濃度においては有効と判断されませんでした。タンパク質と結合ができず膜を壊すことができないと推察されます。環境毒性があり、手荒れを起こしやすい合成洗剤を使う必要がなく、消毒できるのが純石けん成分です。
ウイルス対策に石けんハミガキ
家庭内感染が増えています。その対策として手洗い、ドアノブ等の物への消毒とともに、「石けんハミガキ」が効果的です。ハミガキにたっぷりつけて、1分ほど歯と歯肉を磨き、5g程度の水を口に含んでくちゅくちゅガラガラ20秒うがいをします。国立感染症研究所のデータをから類推すれば、これで数時間は体内からウイルスは排出を防げるでしょう。
食物(環境)連鎖する純石けん
石油からできた界面活性剤を使う合成洗剤は海底に蓄積され完全に分解されませんが、油脂とアルカリの反応物(脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム)からできた純石けんは分解性が高いため環境への負荷が少ないです。石けんが河川や海に流れたら、自然界の水の中にあるミネラル分(カルシウムとマグネシウム)と反応して、食用石けんになります。そして、ミネラルを含む食用石けんは、魚のエサとなり体内栄養となります。魚だけでなく、石けんカスを乾燥させて牛等のミネラルを含むエサになり、美味しいお肉となって食されます。
あやしい成分表示にご注意を
石油からできた合成界面活性剤の成分である化学物質名は、実は同じ物質でも、高級アルコール系や植物生まれ等と宣伝されているので、注意が必要です。除菌や植物性のうたい文句は、ほんの少し成分が入った場合だけでもよく、効果をアピールしているわけではありません。台所用合成洗剤本体には、主な成分のみ表示すればよく、正確な全成分はホームページに表示されれば良いと認められています。体に使うものは、安全性に厳しいため、本体に全成分表示が義務付けられています。日本の表示は、消費者優先とは言い難いことがわかります。
本当に必要なものか考えよう
テレビをつければ買いたくなるような魅力的なコマーシャルに溢れています。必要ではないものを思わず買ってしまいがちです。ムダなお金を払って毒性のある品物を買って健康が損なわれてしまうのは本末転倒。石けんは5000年以上昔から使われ続けていることは、安全である証拠です。簡単便利で、環境汚染をした自然のしっぺ返しが災害や新たなウイルス出現になっています。人と環境が共に健康であり続けるための対策の一つとして、合成洗剤ではなく純石けん使用の優位性がわかりました。
~番外編~石けん洗濯のコツ
石けんカスが残るのがイヤですが、解決策は石けんの濃度です。
0.2%程度の濃度が良いとされ、目安は泡があることです。濃度が低いとカルシウム石けんカスとなって衣類に付着します。そう考えると、水の量が少ないドラム式洗濯機が使いやすいです。温水も溶けやすいです。理想は一手間かけて、湯洗いで塩分を落とすことです。
体の表面は、汚れて帰ってくれば塩分で覆われているから海水と同じようなもの。それが衣類にも付着しています。体を洗うときに湯をかけてから洗うから、石けんカスが残らないのと同じです。