2024年度6月定例議会 一般質問 仕切りのあるベンチは何を問う?

「誰もが過ごしやすい優しい公共空間~仕切りのあるベンチは何を問う?」

公園や路上のベンチには、なぜ仕切りがあるのでしょうか。横になることができず、ホームレスの方たちを意図的に寄せつけないようにしているとして、全国で長年にわたり議論が続くベンチのことです。いわゆる「排除ベンチ」です。

ベンチから見える不寛容さ

30年前、実用新案に登録してある目的に、「浮浪者などがベッド代わりに使用できず」と記されています。しかし、本来の目的は見過ごされ、無意識にクレームを恐れる管理しやすさから増え続けていきました。そして、2020年に渋谷でホームレスとみられる女性が、バス停の狭い座面ベンチで立って休んでいるところ、男性に殴られ亡くなる事件が起きました。事件付近の公園などを見渡してみると、仕切りのあるベンチばかりで横たわることができませんでした。

仕切りをなくす動き!藤沢市は?

東京で制作者の意図から、仕切りを外せるベンチを設置、後に外す動き出てきました。新しい茅ヶ崎市役所内では仕切りのあるベンチは一つも置いていません。一方、藤沢市では、本庁舎をはじめ新設される公園には、仕切りのあるベンチを設置しています。さらに、市内には、排除オブジェのようなイスを配置した休憩スペースも見受けられます。市は、特定の人を排除する意図はないと言うものの、仕切りのある目的は意識していませんでした。

無意識の排除を考える

社会は、健康で働いている男性だけが使うわけではありません。体調が悪いとき、災害時など、誰もが弱い立場になる可能性があります。公共施設は誰もが使用しやすくするべきです。また、見たくないものは見えづらくする、知らない間に社会から排除される怖さを感じるような街でよいのでしょうか。成熟した「まちづくり」に向けて、排除や差別の構造が標準化しない日常の風景が必要です。今後の整備計画では、仕切りのないベンチのある優しい公共空間を提案しました。

藤沢市民会館前の理想的なベンチ

江ノ島入り口にあるベンチ

藤沢市本庁舎内