2022年度9月定例議会報告~令和3年度決算代表討論

2022年度9月議会、決算代表討論に登壇しました。

以下全文です↓↓

認定第1号令和3年度藤沢市一般会計歳入歳出決算及び8特別会計決算等について、認定及び賛成の立場から、民主・無所属クラブの賛成討論を行います。

 

新型コロナ感染症により亡くなられた方、ご遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。また、感染や後遺症に苦しんでおられる方々にお見舞いを申し上げます。

令和3年度は、前年度に引き続き新型コロナ感染症の蔓延に伴い、大きな影響を受けながらの市政運営、財政運営となりました。感染症対策も2年目とは言え、相次ぐ変異株出現による新規感染者の急増は、困難を極める状況でした。市民の命と生活を守るために様々な対策を講じてこられた一年、

医療関係者をはじめ、エッセンシャルワーカー・職員など社会生活を支えてくださった皆様のご尽力に感謝いたします。

 

はじめに、市政全体を通して申し述べます。

◆感染症の拡大により非接触型のオンラインシステムの必要性が増しました。実際の取組として、市議会においては、委員会開催の活用や、学校においては濃厚接触者や不登校児にとって選択肢が増え便利になりました。これからも不測の事態に対応できる柔軟な自治体を目指していただきたいと思います。

◆市職員の役割は、あらゆる市民の利益を追うところです。それには正規職員の役割は重要であり、市政運営において知識に裏付けされた市民に寄り添うチカラが必要です。また市政の充実においては、男女が混ざっている方が自然であり、発想が豊かになることで持続可能な藤沢につながると考えます。ぜひ、決定機関においても働き方改革取り入れながら、女性の管理職登用を進めていただくようお願いします。

市政運営を担う職員が、やりがいを持って仕事をすることで、市民サービスの維持・向上につながることは言うまでもありません。そのやりがいの一つに適正な給与水準があります。職員の給与については、人事院勧告の尊重、情勢適用の原則を踏まえて、関係団体との協議・交渉を経て決定がされるものです。

従って、議会も含めて外部からの圧力により、その関係を決して歪めてはなりません。一部手当が議会でも指摘されていますが、これまでの給与構造改革、給与制度の総合的見直しによる国家公務員以上の給与引き下げは、現在も影響しています。そのことを踏まえて、一部手当の見直しを検討することなく、給与全体の水準について、職員がモチベーション高く、やりがいを持って仕事ができる水準とは何かを十分検討し、市民サービスを低下させない対応を強く要望します。

会計年度任用職員についてです。欠員については、決算特別委員会の中でも質疑がされましたが、欠員はあってはならないことですので、引き続きあらゆる方策を取り入れ、1日も早い欠員解消に努めるよう、強く指摘します。

そして、会計年度任用職員の処遇について申し上げます。会計年度任用職員制度導入の目的の一つに処遇改善があったと認識しています。しかし、この間、人事院勧告による一時金について、マイナス勧告の時は期末手当がマイナスに、プラス勧告の時は勤勉手当がブラスになっていることから、勤勉手当のない会計年度任用職員には、マイナス勧告による引下げだけが行われ、プラス勧告の時には改定されない事態が見込まれます。

このことは、多様な任用形態の中心的存在である、会計年度任用職員のモチベーションを低下させることに間違いありません。制度導入の主旨、市民サービスの維持・向上の観点からも、今年の人事院勧告の一時金のプラス勧告に対して、不合理な差別が生じない対応を要望します。

 

次に、市政運営の総合指針2024に基づく5つのまちづくりテーマに沿って進めます。

「安全安心な暮らしについて」

◆人権施策推進事業について。部落差別の可能性が極めて高いため、栃木県の行政書士は、戸籍謄本等不正取得し逮捕をされています。そのことについて、部落解放同盟神奈川県連は、開示請求をしましたが、神奈川県内18市町村のうち藤沢市だけが請求を拒みました。本市においては協議し個人保護条例により拒否する結果になったとの委員会答弁でしたが、この結果はやはり遺憾と言わざるを得ません。藤沢市民の被害者を出さない視点に立った制度改善を要望します。

◆人権施策について。

本市では、現在、人権施策推進指針の改定に向けた取り組みが進められており、今年5月には人権に関する市民意識調査が行われました。その結果によると、本市のまちづくりコンセプトの一つである「インクルーシブ藤沢」の認知度は、「知っている」、または「言葉は見たり、聞いたことがある」あわせて21.7%という結果でありました。

長引くコロナ禍で格差や貧困のみならず、社会的孤立など様々な困難を抱える人たちが浮き彫りとなり、誰一人取り残さない社会の実現が一層求められております。

認知度向上に向けた取り組みを推し進めることにより、人々の行動変容を促し、一人ひとりの人権が尊重されるまちを目指していただくようお願いします。

また、真のインクルーシブ藤沢を目指すうえで、路上で生活している人、外国人、生活保護者など社会的立場の弱い方の人権を尊重し、丁寧な対応を要望します。

◆防災分野におけるジェンダー平等の促進について。

この度の決算特別委員会質疑におけるご答弁で、女性視点に立った被災者支援の取り組みを具体的に進めていただけるとのことで、大いに期待をしているところです。

加えて、昨年の決算討論におきましても要望をさせていただいておりますが、防災会議における女性委員の登用率向上に向けた取り組みも進めていただくよう、お願いいたします。

◆航空機騒音対策についてです。厚木の米軍ジェット機が岩国に移駐したとはいえ、自衛隊のヘリコプター回数は増えています。国に対して働きがけを要望していただいていることは評価しますが、事故の多いことで有名なオスプレイが頻繁に藤沢上空を飛行するようになっており、安心できる状態とは言えません。さらに、基地の使い方は、まだ流動的な訓練内容で懸念はぬぐえません。そのような中、防音工事区域の見直し調査が始まり、今後区域から外されれば、藤沢市民は大きく影響を受けます。国からは、厚木飛行場周辺の60か所で測定、藤沢市内の測定個所は示されていないとの委員会答弁でした。しかし、今後の対策を考えるうえでも、本市が場所を把握することは大切です。国に対して市内の測定場所を示すよう働きかけを要望します。

◆性感染症対策についてです。梅毒の感染状況は、本市と全国ともに現時点で昨年を上回る勢いで増加しています。感染拡大を防止するために、性行為や性感染症の正しい知識や検査を受けやすい環境整備と普及啓発を一層努めていただくよう要望します。

 

まちづくりテーマ「健康で豊かな長寿社会について」です。

◆ヤングケアラー、ダブルケアラーの課題ついては、藤沢市は全国でも先進的に取り組んできました。しかし、県内近隣市では、専用の相談窓口や家事支援など具体的な事業に発展しています。本市においても実効性のある事業へつなげるよう要望します。

◆行動力を伴うコミュニティーソーシャルワーカーは、多様化した困りごとを抱えた市民に対して、課題解決するには欠かせない人材です。民生委員の成り手不足やフォローとなるよう、あらゆる主体と連携していくことにより、力を一層発揮できるようお願いします。

◆介護保険は、介護の社会化がうたわれ22年が経ち、高齢化がさらにすすみ、専業主婦モデルの制度設計では厳しい状況になっています。現在、ICTは補助的であり、介護人員不足の代替にはなり得ず、介護者の負担軽減策に使うべきとの現場意見が出ています。そうでなければ、更なる現場環境悪化により人材流失は進む懸念があります。再び介護の社会化が後退することのないよう、効果的な事業構築を要望します。

 

まちづくりテーマ「子どもたちの笑顔と元気について」です。

◆保育現場は一時的報酬や対策補助が講じられましたが、まだまだ保育現場の低賃金や働く環境づくりの権利のなさに対して、不満の声が数多くあります。預ける側と預けられる側の権利の衝突は大変難しいことですが、働く意欲の低下や不満によって、最も重要な子どもたちへの影響は避けねばなりません。今後の人材確保の点からも、現場で働く側に寄り添う環境整備を要望いたします。

◆教育環境整備について。児童数が増えている藤沢市において、小学校の35人学級導入は、建物施設を考えれば物理的に不可能に近い地区があります。同様に白浜養護学校の生徒数増加に伴う課題もあります。

学びを保障する環境整備は、私たち大人の責任であり、税金の配分を再検討すべきです。豊かな成長につながるために、より一層の教育環境整備を強く要望します。

◆特別支援教育についてです。先日、日本が2014年に締結した障害者権利条約をめぐり、国連が改善勧告をだしました。日本の障害者の現状を審査し、障害児を分離した「特別支援教育」の中止要請の指摘があったことを重く受け止める必要があります。審査において、国側は本人や保護者が選択したと言っていますが、現実には特別支援学級を強く勧められ選ばざるを得なかった、普通学級を選べることを知らなかったケースがあります。これはインクルーシブになっていない社会通念の現れです。なぜインクルーシブ教育と向き合うことが必要なのか。この問いに、国連障害者権利委員会副委員長は、分離教育は分断した社会を生む要因となり、インクルーシブ教育は共に生きる社会の礎になると述べています。だからこそ教育の現場では、大人が見せる包摂的なあり方は重要なのです。

藤沢市の支援教育に基づき、インクルーシブ教育を実践していただくよう、引き続き学校関係者への理解への啓発を要望します。

そのインクルーシブ教育には、教員の働き方改革が無くしては成り立ちません。

先生不足は、本来の目的である学習や子どもたちへ向き合う時間の確保が難しくなり、子どもたちへ悪影響を及ぼすことしかありません。喫緊の課題として、抜本的な対策や財源確保を視野に入れるよう強く要望します。

◆長引く新型コロナウイルス感染症により、子どもの貧困や教育格差が拡大しています。奨学金制度の拡充、就学援助の基準の維持、学習支援や相談支援など今後も引き続きお願いします。

◆ICT教育は、濃厚接触者や不登校児などに対して学校とのつながりができ、個別最適化学習に有効な手段の選択しが増えました。また、時間の効率化により「ゆとり」が生まれ、利便性向上となりますがそれだけではありません。ツールという手段が増えれば増えるほど、関わる事も増えていくことも念頭に入れていただきたいです。特に、低学年においては対面で向き合う時間がとても大切です。非効率は無駄のように見えますが、考える力を育み、そこから得る納得感や楽しさを持てることは、とても価値のある時間につながります。簡単便利単純な発想ではない子どもたちの豊かな育ちにつながるよう、SNSなどの情報リテラシーをもってツールに振り回されないようICT教育が進むことを要望します

◆産後ケア事業について。

産後ケアの積極的な利用促進に向けては、これまでもサービス提供体制の充実はじめ、利用料に対する自己負担額の軽減等を要望させていただいております。また、産後には、大小の差はあっても、心身の不調や育児に関する不安を抱える可能性や、産後ケア事業の支援内容である保健指導、心身のケア、休息が必要となる可能性が高いことから、本市が現在、対象者として捉えている範囲以上に取り組まなければならないことも他自治体の事例等を踏まえながら、指摘をさせていただきました。

是非とも、産後ケアを必要とする人誰もが利用をためらわない仕組みづくりを推し進めて頂きますよう、お願いいたします。

 

「都市の機能と活力について」

◆村岡新駅設置については、市民理解が得られる取組みとして、説明会やリーフレットを作成して努めていたことを評価します。新たな開発はどうしても環境に負荷がかかることや予算を投じることを懸念する声は少なくありません。環境への配慮を徹底し、環境成長産業を創出するなど、より市民全体に納得がいくような施策構築をお願いします。

◆健康と文化の森まちづくりについては、自然環境を活かし、官民学の連携により持続的な発展に資する都市基盤整備です。また、いずみの線延線については鉄道会社、国・県と連携しながら検討を進め、北部地域の活性化に向け実効性を高めていただくよう要望します。

◆藤沢駅周辺地区整備についてです。市の玄関口としての「藤沢の顔」であり、市民の関心が高く期待されている整備事業です。市民が納得するためには、市民の意見を反映させていくことが重要です。また、駐輪場や渋滞緩和などの利便性は当然ですが、看板広告で美観を損なわない工夫や緑化を守り歩きやすいなど環境に配慮した対策も必要です。行政の役割として政策目的をもって指導力を発揮していくよう要望します。

◆道路安全対策についてです。子どもたちのいたましい事故を見るにつけ、安全を守るのは大人の責任だと感じます。事故を未然に防ぐためには、交差点状況に応じた安全対策が必要です。国の通知により、計画に沿って進めている状況ですが、早急に進めるよう要望します。

◆農業は、環境地域ロードマップに重要項目として、農業生産の向上があるほど、環境への影響が多きく食の安全保障につながります。本市の都市農業において、有機就農者の担い手育成に支援いただいていること、また、市民理解への啓発などを活発に取り組んでいる状況を評価します。今後も引き続き環境に負荷をかけない減農薬農業・有機農業をすすめるために、地産地消給食の仕組みづくりなどを拡充し、地元農業者の生産力向上を高めるよう要望します。さらに、藤沢ブランドの創出や新たな認証制度などをすすめ、地産地消条例をより活かす事業をお願いします。

◆長く続く感染症の状況において、中小零細事業者にとって、経営努力だけでは存続が厳しい状況です。地域の雇用の場であり、地域産業、地元で愛されるお店が存続できるように、今後も誰一人取り残さない視点に立って支援をお願いします。

 

「藤沢市の未来について」

◆環境問題への機運の高まりを受け、気候非常事態宣言を示し、「藤沢市環境基本計画」と「藤沢市地球温暖化実行計画」等を1年前倒して改定したことを評価します。今年のICCPの報告では、「急激な温暖化は私たちの生活に起因する」と初めて断定されました。それだけ、あらゆる場面でできうる限りの構造大転換が必要になっています。待ったなしの気候危機を重く受け止め、先進国の利己的な経済活動や生活様式によって、他国や生態系に悪影響を与えていることを強く認識しなければなりません。気候正義の考えのもとに、全庁、市民、企業と一層協働してすすめていくよう要望します。

また、海は藤沢の大事な資源です。マイクロプラスチックによる海洋汚染は深刻です。神奈川美化財団や市民による海岸清掃が活発になり、環境意識の高まりは歓迎すべきことですが、3Rの最も大事なリデュース「減らす」への視点を強めるよう、市民や企業と共にすすめていただくよう要望します。

◆藤沢市民会館再整備について、基本構想の策定に向けて進捗が図られました。

文化芸術の拠点、市民の発表の場、にぎわい創出の商業的な要素など様々な役割が考えられます。市民の利用も高い施設のため、期待も大きいことは皆さんもご存知でしょう。文化芸術は、人生を豊かにする素晴らしいチカラがあります。だからこそ、藤沢市は、市民の意見を反映し市民生活向上のためにも、文化的活動を楽しみ心豊かな暮らしに資する拠点となるべく、文化芸術の政策を打ち立てていただくよう要望します。

◆オリンピックについて、新型コロナ蔓延により開催が危ぶまれる中、ホストタウンとしての役割を果たしたことを認めます。また、スポーツに親しむ機運の高まりや施設整備、市民のボランティア文化の醸成もレガシーの一つと言える成果です。しかし、感染爆発している最中の開催には、反対する市民の声も多くありました。オリンピック選手はPCR検査してもらえますが、市民は自宅待機が続いたあと、ようやく検査と言う事態に不平の声がありました。国を挙げたイベントは開催されるが、部活動や地域イベントなど身近な開催はできず、不公平感はぬぐえません。開催前は会長の女性蔑視発言、開催後も大会理事の企業癒着による汚職事件が続き、平和の祭典とは言えない負のレガシーを残しました。礼賛一辺倒ではなく、オリンピック憲章の機運がそがれ、違和感があったことも受け止めていただきたいと思います。いま、感染状況も落ち着き収束していくような気配もありますが、いままでの経験を活かして身を引き締めて今後も取り組んでいただきたいと思います。

ここまで様々な要望をいたしましたが、令和3年度、コロナとオリンピックに振り回され、通常とは違う市政運営と財政運営でありましたが、うまくいったこといかなかったことをしっかりと検証して次につなげてください。今後も誰も取り残さない指針に基づき、行政の役割を果たしていただきたいと思います。そして、ここにいる市民を最も尊重している皆さんと市民参加をもって歩んでいきたいと思います。

ご清聴ありがとうございました。

前の記事