介護する家族の人生も大切~ケアラー支援とは何か~

11月6日、神奈川ネットワーク事務所にて、竹村雅夫藤沢市議、いきいき福祉会の小川泰子氏を講師に迎えて、要介護者の支援だけでなく家族介護者(ケアラー)の支援を含めて考えることの重要性について学びました。

20年前の介護保険ができたころは、介護の担い手は専業主が主体でした。現在は共働き世帯が増え、男性も含め働きながら介護する人が半数を超えて、介護離職は年間約10万人になっています。うちダブルケアが3割、介護殺人は年間40~50件で約10日1件です。ケアラー本来の人生が追いつめられてしまうようでは、制度が現実に合わなくなっていると考えられます。

人口ピラミッドの変化、少子化、晩婚化が進み、介護が低年齢化し家族介護のために、部活や勉強をあきらめなくてはならない若者が増えています。5年前に藤沢市内の教育現場において、ヤングケアラー調査を実施しました。同じ調査を南魚沼市でも実施しましたが、地域資源が違うにもかかわらず、結果はほぼ変わりませんでした。今年、埼玉県はヤングケアラー条例を制定し、県立私立高校全ての生徒に対してアンケート調査を行った結果、20人に1人がヤングケアラーとの実態がわかりました。その後、厚生労働省が教育現場に対して、ヤングケアラー全国調査を実施する予定までになりました。調査をすることにより教職員や社会に対して、ヤングケアラーの存在を認識させることは大きな前進です。また、厚労省「家族介護者支援マニュアル」が作成されたことも大きいです。

制度を追いかけてどう使うか考えがちですが、現場に即した問題提言が必要です。介護現場で直面している課題の一つとして、家族が疲れきっている現実があります。学生など、高齢者、外国人に由来のある人に関してはより深刻な問題です。「SOSを出せない。わたしが増えている」お互いに助け合うコミュニティ文化が以前にはありましたが、地域社会が希薄化し、言えない言いづらい日本社会になっているように感じます。

今後さらに深刻さを増す人口減少社会では、介護問題としてだけでなく、人権の尊重、学びの保障、労働問題等として捉えなければならないほど社会全体の大きな課題になっています。家族まるごと支援する制度が必要であり、超党派で行動していかなければならない時期にきています。